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月刊 「医薬経済」連載記事ご紹介/「上咽頭から始まる命の医療〈1〉Bスポット療法の伝道者」から

当ホームページにて院長掲載誌として紹介させて頂いております以下ページ
https://aida-shika.or.jp/staff/#link01_b

私自身が月刊「医薬経済」へ連載している部分の原稿を本ブログにて少しだけご紹介していこうと思っています。
もしよろしければご覧になってみてください。


■今回は「上咽頭から始まる命の医療〈1〉Bスポット療法の伝道者」から

上咽頭から始まる命の医療
〈1〉Bスポット療法の伝道者

 宮城県仙台市で難治性の腎臓病治療に取り組む堀田修氏と、福岡県福岡市でリウマチ・アレルギー患者の治療に励む今井一彰氏。遠く離れた地でそれぞれが上咽頭に着目し、患者さんの治療に心血を注いでいる二人の内科医をつなぐ接点は一冊の医学書でした。それが、1968年に発刊された「内科医のための鼻咽腔炎〜この不思議な疾患〜」(金原出版刊)です。著者は、元東京医科歯科大学耳鼻科教授だった故堀口申作氏。そしてこれからご紹介するのが堀口教授の愛弟子で、2014年9月で84歳になる今も堀口教授が考案した「Bスポット療法」によって多くの患者の治療を続ける耳鼻科医の谷俊治氏です。1957年に東京医科歯科大学耳鼻咽喉学教室に入局以来、57年間にわたって上咽頭の治療に取り組んでいる谷氏を駆り立てる情熱はどこから生まれるものなのでしょうか。その生い立ちから現在までの経緯の中で、現代医療の根深い病巣が浮き彫りになります。

幼い頃からの夢・医学の道へ
 1930年神奈川県川崎市生まれ。中学生の時に日本は戦時下となり国の方針で自宅を取り壊されて余儀なく疎開。転居を繰り返し終戦を迎え、父の転勤で川越高校に転入。野口英世の伝記を読んだことがきっかけで、幼い頃から医者になりたいと言っていた私は1952年東京医科歯科大学に入学して堀口教授と出会うことになります。 
 1956年3月に東京医科歯科大学医学部医学科を卒業(第4回生)。東京逓信病院のインターンを経て1957年に大学院博士課程に入学。医学部で人気があったのは内科と外科でしたが、内科は修得しなければならないことがあまりにも多く、外科は体力がなければ務まらない。そこで堀口教授が川越高校の大先輩だったというご縁もあり、耳鼻科の道を歩むことになりました。入局後は堀口教授から「上咽頭治療」を学び、1961年3月に博士号を取得し教室の助手となりました。
 1962年4月からは堀口教授の奨めにより東京学芸大学教育学部に移り、障害児教育学科・障害児臨床講座大学院主任教授に就任。保健管理センター所長を併任し、障害児学校・学級の教員養成に力を注ぐとともに、延べ8千症例の障害児の相談ボランティアを行いました。この間に、学長、文部大臣の許可を得るため「耳鼻咽喉科治療(上咽頭治療)の心身医学的研究」というテーマを掲げ、都内の某診療所で週一回の実験的耳鼻科診療を32年間試行。1994年3月に定年で退官したあとは「埼玉県立嵐山郷」(重度知的障害者の入所施設)の医療部で「Bスポット療法」を実践しました。
 なお、現在は2005年4月より上田診療所耳鼻科(東京・日本橋)で週1回、「Bスポット療法」を中心とした治療を予約制で担当しています。

「Bスポット療法」とは
 堀口教授は東京大学在職時にたびたび風邪をひかれたため、ご自分の身をもって耳鼻科的な観点から治療法を探られていたとのことでした。さまざまな薬を鼻や咽に塗布して試行錯誤を繰り返すうちに、上咽頭部への処置が効果的であることに気づかれたそうです。東京医科歯科大学に移られると新患の方に必ずその処置を試みられていたのは、まだ「Bスポット療法」という名前もなかった頃のことです。ここで言うBスポットとは、上咽頭の部位を指します。鼻咽腔とも呼ぶため、一般の方に分りやすい名称をという意図からその頭文字をとり、Bスポットと命名されたとのことでした。(1984年、カッパサイエンス編集者の提案と聞きました。)

 ここで、「Bスポット療法」(文中「鼻咽腔炎治療」)がもたらす効果について、堀口教授の著書「内科医のための鼻咽腔炎〜この不思議な疾患〜」(堀口申作著/1968年5月20日金原出版株式会社発行)から紹介します。
※同書「12. 鼻咽腔治療のメカニズム」より抜粋。

▼鼻咽腔炎治療によって治癒ないし好影響を受ける疾患の数々を挙げたが、鼻咽腔治療がどのような機構で影響を及ぼしているのか。その影響は次にように分けることができる。
① 疼痛の放散(頭痛等)
② 病巣感染ないし自己免疫(リウマチ等)
③ アレルギー(即時型)
④ 自律神経症状
⑤ 炎症の波及(ないし共存?)

① 疼痛の放散
 主として頭痛であるが、その外に口蓋扁桃や中咽頭壁から来る頬部異常感、上部食道壁の炎症から来る肩こりなどがある。これらは局所に全然疼痛に関する訴えのないのが特徴である。頭痛の場合に鼻咽腔そのものは激しい炎症を有するにもかかわらず鼻咽腔局所の疼痛を訴える者は全然おらず僅かに綿棒擦過によって初めて疼痛を訴えるだけである。この様な種類の疼痛を感ずる神経は、有髄の痛覚神経と異なりいわゆるC繊維といわれる無髄の細い、伝導速度の極めて遅い神経であるという。鼻咽腔炎と頭痛の関係はこのような内臓痛の放散に極めてよく似ている。内臓痛の感覚は位置の明確でない「不快なる疼き」であり、鼻咽腔における求心繊維の多くはC繊維ではないかと想像される。
② 病巣感染ないし自己免疫
 リウマチなどの自己免疫疾患が鼻咽腔炎治療に確実な反応を示すことを記したが、自己免疫において、個体自身が体内に生産した異物が抗原となるという考え方からいえば、慢性炎症巣の存在が重要な役割を演じていると考えられる。また、鼻咽腔は炎症の原拠点であるだけでなく自律神経の重大な刺激点であるため、単なる免疫現象以外に重大な事実があるように思う。なお、鼻咽腔刺激直前直後の血中ステロイドを比較したところ、即時型アレルギーを除く全例で著名な増加が見られたことは、鼻咽腔炎治療が有効に作用する一つの証拠と示唆される。
③ アレルギー(即時型)
 鼻アレルギーを初め気管支喘息、蕁麻疹などいわゆる即時型アレルギーは鼻咽腔炎治療によく反応する。アレルギーは抗原抗体反応が原因と考えられるが、抗原抗体反応では鼻咽腔炎治療の効果は説明できない。鼻アレルギーの発作の症状は急性鼻炎に酷似しており、急性鼻炎の場合は激しい鼻咽腔炎が常に存在する。炎症が一定の閾値を超えて増悪すると風邪の諸症状が発現し、拡大すると扁桃炎、鼻炎、気管支炎、肺炎等となることが考えられる。鼻アレルギーと症状を一にする鼻炎は鼻咽腔炎がある閾値を超えた発作を起こしたときのみ成立すると考えられる。このような考え方は全身の血管運動神経の過敏性にから招来する蕁麻疹、腸の煽動運動を高める胃腸アレルギーにおいても、治療の有効性という事実がある限り同じ機構を考えて差し支えないと思う。
④ 自律神経症状
鼻咽腔炎の治療によって自律神経異常状態の正常化、すなわち人為的制御が可能であることは本書で述べた通りである。鼻咽腔炎治療が血管運動神経を介して各種の臓器に影響を及ぼし得ることも全然可能性のないことではないと考える。また、血圧異常が鼻咽腔炎治療によって正常値に近づくことから心筋梗塞の予防にも有効と考えられる。

堀田修氏による機序
 一方、現在腎臓病治療の最前線に立つ内科医の堀田修氏は、上咽頭に関与することがなぜIgA腎症の進行を抑制するのかについて、次のように解説しています。
【機序】
 上咽頭の表面は抗原提示能を有する繊毛上皮で覆われていますが、上皮細胞の間に活性化されて臨戦状態にあるリンパ球が多数存在しています。鼻腔あるいは口腔から細菌やウイルスが侵入るすとリンパ球は戦闘状態に突入しスイッチがONになります。ONのスイッチが入ると全身を循環するリンパ球にその指令が伝達され、その結果としてマクロファージなどの細胞傷害機能を有する実行部隊が動員され、上咽頭とは遠く離れた皮膚や腎臓で血管炎や糸球体腎炎などが惹起されます。
 そして、スイッチONの状態が持続すると糸球体腎炎や皮膚炎が持続し慢性化することになります。糸球体腎炎が持続すれば糸球体が少しずつ潰れていって、生き残った糸球体の代償機能を超えると腎機能はゆっくり低下し始めます。一度、潰れた糸球体はもとには戻りませんので早めにスイッチOFFの状態、すなわち病的な慢性上咽頭炎の状態を生理的炎症のレベルに戻す必要があります。さて、問題となる慢性上咽頭炎治療に関して、今後優れた治療法の登場が期待されますが、現時点では炎症部位を収斂させることにより病的炎症を改善させる上咽頭への塩化亜鉛溶液の直接塗布(通称「Bスポット治療」)が最も効果的です。


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