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月刊 「医薬経済」連載記事ご紹介/① Bスポット療法にEBMを

当ホームページにて院長掲載誌として紹介させて頂いております以下ページ
https://aida-shika.or.jp/staff/#link01_b

私自身が月刊「医薬経済」へ連載している部分の原稿を本ブログにて少しだけご紹介していこうと思っています。
もしよろしければご覧になってみてください。


■今回は「①Bスポット療法にEBMを耳鼻咽喉科専門医のアプローチ」から

 不安定な経鼻カメラを定点保持しながら、適切に最短時間でBスポット治療を行うライブ画像。術者が1人であるとは信じられないものでした。
耳鼻咽喉科専門医の田中亜矢樹氏は、故堀口申作教授(東京医科歯科大学)が60年前に開発したBスポット療法を今も実践する臨床医のひとりです。Bスポット療法は、上咽頭部の炎症が全身疾患を引き起こす病巣感染の治療法ですが、さまざまな症状が改善するため、「〝万病に効く〟という風評がBスポット療法の普及を妨げた」と田中氏は言います。得意とする内視鏡を駆使して新たなBスポット療法を実践する同氏に、Bスポット療法との出会いから実際の手技、今後の展望について伺いました。

Bスポット療法との出会い
 田中亜矢樹氏は1994年から1995年までの1年間、大阪市立大学から金沢医科大学に出向し、内視鏡下副鼻腔手術(ESS/Endoscopic Sinus Surgery)を学んでいました。当時、金沢医科大学の耳鼻咽喉科学講座には、日本の内視鏡治療をリードする山下公一主任教授(現名誉教授)がいました。
 山下教授は東京医科歯科大学在職中に故堀口申作氏の直弟子の立場にありました。また、東医歯大と大阪市大はともに金沢医大に応援の医師を派遣するという関係にあったことが、田中氏とBスポット療法を結びつけるきっかけを生むことになります。
 その後、1999年から勤務した大阪駅前のアクティ大阪耳鼻咽喉科で当時の院長が塩化亜鉛やアクリノールを用いて行うBスポット療法を目の当たりにすると田中氏の取組みは本格化し、2004年に開業後、10年が経つ現在もBスポット療法を続けているというのが今日までの経緯です。

Bスポット療法の現状
 開業以来田中氏はBスポット療法を続けてきましたが、HPにBスポット療法の項目を新設したことを機に、患者さん自らがBスポット療法を求めて来院した最初は2010年12月、59歳の男性でした。
 「故堀口先生が教授を退官後横浜に設立した鼻咽腔研究所に兵庫から毎週新幹線で通っておられた方でした。また、IgA腎症の患者は2012年8月に来院された女性の患者が最初です。現在までにBスポット療法を行ったかまたは現在行っているIgA腎症患者さんは約60名です。」
 耳鼻科の一般開業医であるため、治療に対する要望は多岐にわたると田中氏は言う。
 「たとえば腎臓内科医の堀田修先生は、IgA腎症を改善するという明確な目的を持って慢性上咽頭炎の治療にBスポット療法を取り入れています。しかし当院は耳鼻咽喉科クリニックですから、めまいや喉の痛み、後鼻漏のなどいわゆる耳鼻咽喉科的な症状の改善を求めてくる患者さんもいれば、リウマチ、アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症などの治療を受けたいという方も来院します。Bスポット療法を知らずに風邪で来院され、たまたまBスポット療法を知ることになって以来、慢性頭痛や肩こりの改善を目標に通院している方もいます。日々の診療で様々な症状が混在する中で、毎日数十名の患者さんにBスポット療法を行っているという状況です。」
 田中氏は治療の効果について、「故堀口先生は風邪の患者さんにBスポット療法を行い、頭痛などさまざまな症状が改善することに気づかれたというのが1960年代の流れだったと思います。ところが、ありとあらゆる難病に効くという論調になってしまったため、医師が懐疑的になり普及が進みませんでした。しかし、実際の臨床の中で、目が重たいとかめまいがするという患者さんのうちメニエール病のように低音障害性の難聴を伴う内耳性のめまいと推測される患者さんにBスポット療法を行うと、めまいが改善するケースが確かにあります。あまりに劇的な変化を目の当たりにすると、今まで学んできた平衡機能学の常識が根底から覆される思いがします」と語ります。

手技の実際
 田中氏が行っているBスポット療法は、塩化亜鉛を使用する。1%塩化亜鉛と滅菌精製水で0.2%に希釈したものの2種類を使い分け、当初からBスポット療法を希望する患者には1%塩化亜鉛を使用する場合もありますが、多くの場合は0.2%希釈液を使用し、治療を続けるうちに出血せず痛みを伴わなくなってから1%に切り替えます。治療に伴う痛みを軽減し、Bスポット療法を普及させるための配慮でもあるわけです。
 「治療では経鼻と経口の両方から上咽頭部にアプローチします。経鼻の方が時間をかければどこが悪いかを確認しながら進められるので、私はどちらかといえば経鼻にウエイトを置いています。まず細菌検査のために上咽頭の表面を経鼻の綿棒で擦過します。炎症が強く浮腫状になっていれば手応えは握雪感というか、スイカを握りつぶしたような感触でしょうか。内視鏡を保持したまま治療に移りますが、経鼻綿棒に塩化亜鉛をしみこませたもので塗布したのち、経口では咽頭巻綿子(けんめんし※注)を用います。経鼻から薬を塗布する時は細い筆、経口の場合はハケで塗るようなイメージです。痛みについて患者さんに説明する際にはマッサージに例えて、『いくらツボに入っていても強く押しすぎれば辛く感じる時がある』とお話しして理解を得るようにしています。力の入れ具合は、華奢な女性などでは巻綿子を奥に押し付けるのではなく、軟口蓋を手前に引っ張るようにした方が自律神経反射を起こさせず、患者さんを不快にさせないようです。」
※注「巻綿子(けんめんし)」:綿を巻き付けて、綿棒を作るときなどに使用する金属の棒。口腔ケアや扁桃・咽頭へ薬剤を塗布するときに、よく使用される。


② Bスポット療法にEBMを

前号で登場していただいた田中亜矢樹氏は内視鏡によって慢性上咽頭炎の有無を確認できるか否かについて、「疑いの目を持って行えば、かなりの確率でわかるのではないか」と考えを示しています。「手探りの操作では見落とす場合もありますし、やはりきちんと評価を出すためには内視鏡を使用することが必要と考えています。ただし、擦過して初めて出血が確認できる場合があり、擦過診を併用することが条件になると思います」とのことでした。
 また、実際の所見については、「ニスを塗ったように不自然な光沢がある場合も、内視鏡で認められる慢性上咽頭炎の特徴のひとつですが、疑ってかからなければ見過ごすことになります。言ってみればWatchとSeeの違いでしょう」とし、一定の臨床経験が必要であることを示唆しています。あわせて手技についても、「私は両手でスコープと巻綿子を使いながら、フットスイッチで写真を撮っていますが、内視鏡の操作は特にフレキシブルファイバースコープの場合,耳鼻科医でも慣れないと難しいかもしれません」とのこと。診断と治療のハードルは高いですが、手探りによる〝巧みの技〟を科学的な根拠を持った汎用性のある医学にしなければ、Bスポット療法普及の道を拓くことはできないといえるでしょう。
 
〈症例から〉
 IgA腎症で、慢性上咽頭炎の患者さんの上咽頭を擦過すると、簡単に出血しピーマンの種状の膿栓が出てくるケースがあります。このような場合は経鼻で単に薬を塗布するだけでは効果がなく、経口からもかき出ないと改善は難しいと思います。手技のイメージは塗布するというよりも擦過することを重要視しています。2ヶ月ほどBスポット療法を続けると膿栓が出なくなり,画像を見ると初診時とは明らかに異なり、ぶよぶよしていた上咽頭粘膜が硬くてタイトな感じになってきます。これが、慢性上咽頭炎が治っていく過程ではないかと考えられます。
 上咽頭はいわば交通の要所であって鼻呼吸にとって重要な部位でもあるし、感染の関所としての役割もあります。ただ、耳管の入口でもあり耳管咽頭口が隣にありますから、中耳炎などのトラブルを起こす場合があり注意することが必要です。

Bスポット療法普及への課題
 新たな科学や未知の技術にとって障害はつきものと言って良いでしょう。では、Bスポット療法が普及するための条件は何でしょうか、田中氏は第一に、「治療の概念を共有すること」を挙げます。そのために、「典型的な慢性上咽頭炎は視認できるということを内視鏡やCCDカメラを利用して示すことが重要です」として、以下のように課題と展望を語りました。

田中 年配の先生の中には、Bスポット療法は60〜70年代にすでにけりのついている話ではないかと言う方もいます。その一方で、いまも各地で実践している方がいる、では私は将来どうするかです。
 当院で、昨年8月時点で33名だったIgA腎症の患者さんが、1年経ってほぼ60名と増えています。患者さんはBスポット療法を行っている病院を探し、やっとの思いでたどり着いたという現状です。患者さんが非常に孤立しているという印象が強いため、昨年9月にIgA腎症Bスポット療法患者交流会をおこないました。
 交流会を開くに際して堀田先生にIgA腎症についていろいろご教示いただいたのですが、「IgA腎症にBスポット療法がなぜ効くのかは分らないが、腎臓内科医にきちんとフォローアップを受けながら補助的な治療としてBスポット療法を取り入れるのは問題ないと考えている。腎臓内科医の手を離れてこれだけに頼ることは、患者の利益になるとは思えないので避けるべきだろう。たとえば、将来は扁摘を受けるがまだ入院の都合がつかないとか、扁摘パルス療法を受けたが寛解しないというケースに試みる価値は十分ある。なお、歯科疾患の影響も考えられるので、口腔内も確認しておくべきであろう」というスタンスをお話しさせていただきました。私も耳鼻科医という立場であっても歯性病巣感染が疑われる場合には、その旨を患者さんにお話ししています。
 他科との連携がBスポット療法普及への早道であることは間違いなく、私は耳鼻科医の立場から内視鏡所見を積み重ねていくことが、与えられた役割の一つと考えています。


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